日商簿記3級が対象とする会社
簿記3級の対象としている会社(お店)というのは、株式会社等の企業を対象としているのではなく、ど
ちらかというと小さなお店をイメージしています。株式会社や有限会社を「法人」と言いますが、法人で
はない「個人事業」を対象としています。
「個人事業」というのは、事業主(店主)が自分の資産を元入れして商売(事業)を開始します。
法人と個人事業はいろいろ違うところがありますが、ここでは、財布(お店の金庫)という面に注目します。
株式会社等の法人の場合は、株主となる出資者から資金を調達して設立します。そのため法人(法律
上の人格を持つと言われています)と代表取締役である社長とは別の人となりますから、社長の財布
と会社の財布は、別物です。(会社からみれば、社長さんは、会社が雇用している人になります。会社
という組織から「会社の経営」を委託されている人になります。)
しかし、個人事業の場合は、事業主(店主)が個人の資産を元入れして開業した訳ですから、事業主
(店主)の財布と、お店の財布は同じ物になります。そのため、個人事業の場合は、事業主(店主)の生
活用の財布とお店用の財布の中が、混ざってしまう可能性が高くなってしまいます。
お店の正確な利益を求めるためには、事業主(店主)の生活用の支出とお店用の支出(お店の経費)を
きちんと区別しなければなりません。
事業主(店主)の個人的な支出とお店の支出をきちんと区別できなければ、税務署の調査で、間違い
を指摘され、税金をさらに納めることにもなりかねませんし、また事業をする上での特典である「青色
申告控除」を適用することができなくなる場合もあります。
お店の事業とは関係のない支出(事業主(店主)の生活費)をした場合には、事業での支出と区別する
ために「資本金」a/cまたは「引出金」a/cを使用して、集計しておくことになります。
簿記の試験では、「資本金」a/c、「引出金」a/cのどちらを使用するかは、問題の指示に従います。個
人事業での実務では、資本金a/cのことを「元入金」と呼びます。また、資本金の減算である「資本金
a/c・引出金a/c」を「店主貸a/c」と言います。(元入金(資本金)に加算する時には店主借勘定というの
を使用します)
※「現金勘定」とか「売上勘定」とか、簿記では勘定科目名の後ろに「勘定」ということばをつけます。
表記するときは、漢字は面倒なので、「a/c」と表記します。
※貸借対照表を表現するときに、資産・負債・純資産(資本)と表記されています。このうち純資産
(資本)は、かって「資本」とか「資本の部」と表示されていました。
平成19年度の会計規則の変更、会社法の変更(つまり法律が変わった)により、これまで資産から
負債を引いた部分を資本と呼んでいましたが、名称を「純資産」と変更されました。
しかしまだ「純資産」という語が一般的に認知されていないため、「純資産(資本)」と併用している
テキストが多いです。
これら「資産・負債・純資産(資本)」は、勘定科目のグループ名みたいなもので、勘定科目名であ
る「資本金」a/c「引出金」a/cの名称が変わるものではありません。
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